SRX600に鍛造ピストン入れてみた
整備
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SRX600に鍛造ピストン入れてみた

エンジンのピストンは鍛造製と鋳造製に大別されます。
鍛造(たんぞう)とはアルミ合金の塊をアッチッチに熱したうえでトンデモナイ高圧力を掛けてムギュ~っと潰しながら成型する手法です。
また、鋳造(ちゅうぞう)とは鋳型にドロドロに溶かしたアルミ液を流し込んで固めて成型する手法です。鋳造ピストンの代表格はメーカー純正品です。

鍛造ピストン
アルミ合金を高温高圧下で鍛えるため、分子レベルでの結合密度が高く、一定体積において非常に強度と剛性(“強度・剛性”の話は次回のお話で)が高く、その為、反射的利益として余肉が減らせるため軽量化ができる。
要は、高負荷の下で使用条件の厳しい環境でも性能低下が少ないピストンです。

DE、当SRX600には上記メリットを期待して鍛造ピストンを入れたのか? 答えは、“NO!but”です。。。
DEMOTAでは約5万キロ弱走行したこのSRXについて、エンジン腰上をリフレッシュ施工して安心してお客様に使っていただこうと考えました。シリンダー摩耗を計測したところ充分使用限度内にあり、ピストンやカムシャフト等も摩耗が少ない状態でした。
「これならピストンリング交換でイケるな」と踏んで、メーカー部品在庫を調べたところ、、、“廃番”でした。
ボア96mmという超レアサイズなものだけあって、新品はどこにもない。。。こればかりは新品でないとダメ。。。
調べまくったところ、WISCO鍛造ピストンキットが目に留まったのです。

以下は本件リフレッシュに際してのDEMOTAの考え方です。

■他社製ピストンリングは純正ピストンには使えない。他社製ピストンリング使用の場合は、同社製の適合ピストンを使うべき
■現状シリンダーは使用限度内にはあるが、長年走行での摩耗はあり、シリンダーとピストンの隙間が当然に今後も拡大傾向にある
 (もともと空冷エンジンは隙間がデカい→密閉度が低い)
■鍛造ピストンのデメリットとして熱膨張率が大きい事があるが、逆にこれは多走行の空冷シリンダーにはメリットとしてジャストフィットするであろう
 (ピストン・シリンダー間の隙間が極小化し気密性が増すため)
■大排気量の空冷単気筒エンジンは、シビアな耐圧・耐振・耐熱ダレ性能が求められ、正に鍛造ピストンの耐久性・安定性が寄与するであろう

一方、世間のプロチューニングショップ様の総意見として、、、
『鍛造ピストンの能力発揮には、シリンダーボーリングもきちんとして、良いシリンダーライナーをきちんと打ち換えできていないといけません。バルブ回り、ガイド交換やシートカットすり合わせが大切です。そして吸気(キャブ)排気(マフラー)点火系もキチンとしていなければなりません。』

正に仰る通りでございます。

これを見て頂きますと、正に DEMOTAの考え方は少し斜め上的な発想と思えます(笑)
チューニングショップ様から見ますと鍛造ピストンを理解できていないセミプロと思われるかもしれません。

But,
そのオートバイの特性と現状をよくよく把握し、それに乗るお客様のタイプを深く思考すると、性能アップの前に今後どれだけ長く好調を維持できるか?としてDEMOTAの採るべき答えとなりました。
現状に合わせた適材適所の考え方こそ、絶版車レストアに求められる重要要素だろうと思います。

エンジンのオーバーホールをしない中古車に乗るのなら、最初の見極めは特に重要です。一般のお客様には相当に難しい判断となるでしょう。
でも、このオートバイにはその心配はありません。


あとがき
機械部品オタクのDEさんとしては、鍛造ピストンは見てるだけでもウットリですねぇ。
あっ、今回もちろんシリンダーヘッドのオーバーホール(バルブ回り:シートすり合わせ&ステムシール新品交換、バルブ隙間調整)も実施していますよ^^
この金属光沢!大好きです。


交換前の純正ピストンです。カーボンがびっしり堆積しています。このエンジンの燃調は濃く、カブり気味だったようです。


組み付け後です。オートバイとしては実にでっかいピストンです。
このシリンダー合わせ面も見て頂けると。ヘッドとの密着性を高めるためキレイキレイに平面出しを実施しています。
(組付け前後の画像を比較してみてください。)


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