商品整備技術
XLR125Rを必死にレストアしています。
腰痛で1週間以上タイムロスしましたし、初売りに何とか間に合わせたいとの願望がありまして...
このマシン、前ブレーキが「抜けている」という事実を承知で買い付けております。
DE、いざ作業に取り掛かってみますと、ブレーキフルードが抜けているだけかと思ったら...
■ディスクローターそのものが偏摩耗している
⇒おそらく、パッドの摩擦材部分を使い果たして台座の地金でローターを挟んだ結果かと
■キャリパーピストンの先端が割れている
⇒こんなの初めて見ました。材質が金属ではないのかな?
■ブレーキブリーダープラグのオイル通路が変形している
⇒締め付けトルクを掛け過ぎです (´Д`)ハァ…
■ブレーキレバーの爪が折れている
⇒これではブレーキスイッチが押下できず、ブレーキランプを点灯できません (◎_◎;)
■極めつけは、よく見りゃまったく別物のマスターシリンダー
⇒これだけがピカピカで新しいので違和感を持ちましたが、他車種のものとは考えませんでした。
こーなった状況の仮説...です。
◇前オーナー様はパッド摩擦材を使い切り、ディスクローターを段減りさせてしまった。
◇パッドを新しくしたところで当然ブレーキの制動力は激減しますので、効きを良くしたいとキャリパーを弄りました。このキャリパーピストンは構造的に容易に抜けずペンチ等で無理くりコジりました。
結果、ピストンは割れました。
◇次にマスターシリンダーの劣化を疑った結果、新しいものと交換。
しかし、純正品は既にメーカー廃番となっていて別車種のものを取り付けしました。
◇ところがブレーキレバーの形状が合わず、スイッチを押す爪が邪魔に。DE、ブレーキランプを犠牲にしてレバーの爪を折ったか、無理に変形させた結果で折れたか。。。
といった話かと (;^_^A
皆さま、ブレーキのオーバーホールは雑にやると大変危険でゴザイマス。
ブレーキの分解整備は「特定整備」と申しまして、指定工場・認証工場以外ではできない整備です。
もちろんご自分の愛車をご自身で整備するためにやる整備は違反とはなりませんが...
なりませんが、こんな悲惨なことになるんですわ。
今回の仮説「制動力の低下」の真因はブレーキローターの段減りにあると思われます。
トップ画像の状態で段差は0.3mm以上となっています。
ブレーキパッドとディスクローターのスキマでさえ0.1mm以下しかないんです。
つまり、ピストンの可動域は最大0.1mm程度になるワケですから、減ったディスクローターの部分(窪みが0.3mmあるのと同じ)にはパッド摩擦材が当たらない計算です。
となりますと、ディスクローター表面積の半分くらいは機能しないことになります。摩擦がまったく無い部分が50%だと仮定すると全くブレーキが利かないことになるのは当然なワケです。
今回のレストアですが、
ディスクローター交換、ローター固定ボルト交換、ピストン交換、ピストンシール交換、ブリーダープラグ交換、マスターシリンダ交換、ブレーキレバー交換、ブレーキパッド交換
とほぼ全面改装。。。
とーぜん、絶版車ですので部品の調達が肝になります。
特に、ディスクローターとマスターシリンダーの入手は慎重にやらないと。
今回、XLR125Rに使えるディスクローターは、安価な中華製新品とメーカー純正中古品を候補として選びました。そして迷わずメーカー純正中古品を選びました。その理由はディスクローターの材質です。
中華製の金属材料は何が用いられているか分かりませぬ。
新品であっても剛性・強度の保証がまったくないと考えました。それならば多少の使用感があっても純正部品がベストだと。
まず、ブレーキローターは高温、高負荷に耐えることが大前提です。変形するだけならまだ良いですが、走行中に破断したら大事故に繋がります。
車輪がロックしますもんね。
次に、耐摩耗性がありながら粘り(適度な軟らかさ)がある素材でなければなりませんね。
硬すぎてパッドに絡まないと摩擦が足りず制動力に繋がりません。
ディスクローターに使われる材質には、一般的には鋳鉄品で素材の中に含まれる黒鉛の形態によってねずみ鋳鉄と呼ばれるものか、大型二輪ではステンレスです。
ねずみ鋳鉄は加工性に優れ、摩耗に強く、大量生産しやすいので純正品に多く採用されているワケです。
それに熱処理加工等の高度な技術が必要でして、通常は安価では出来ないものだと思って頂ければ間違いないデス。
次にマスターシリンダーですが、ブレーキの油圧は「パスカルの原理」を利用しています。
すなわち、マスターシリンダーのピストン径とキャリパーのピントン径のバランスで制動力が決められています。マスターシリンダーのピストン径やストロークに変更があると期待したブレーキ性能が発揮できない可能性もあります。
つまり、マスターシリンダーとキャリパーは一対の組み合わせと考えると「純正」仕様が一番間違いないとの必然的な結論がでます。
XLR125Rのマスターシリンダは廃番でして入手は簡単ではありませぬ。
が、今回は中古良品をゲットできました。今、到着を待っていますがオリジナル仕様に戻せることができるのは次オーナー様にとっても良いコトだと思っています ( ´∀` )
本日のポイント
■ブレーキパッドはギリギリまで使わない
■偏摩耗したディスクローターは即交換and安物は避けた方が...
■ピストンが壊れるようなコジリ方はNG
■マスターシリンダとキャリパーは純正1セットで
とにかく無理なブレーキ整備はいけません (◎_◎;)

ピストンがかけてます (◎_◎;)
これではディスクローターに正しく“力”が伝わりません

レバーの爪折れ
これではブレーキランプが無効化されてしまいます (◎_◎;)
そもそも違う車種のパーツやないかい...