整備技術
日常的に何気なく使われている用語アレコレ
(アフター)ファイヤー!
先日、ヤマハXT250Xをお納め致しまして、、、
奥多摩湖まで慣らし運転されたオーナー様から「ヒジョ~に快適」という言葉を頂戴しまして、こちらとしてもサイコーな気分でおりました。
まあ、その前後の会話なのですが、ふと「リミッターカット」という話が出てきました。当店ではリミッターカットとかの処置はやりませんが、メカニズムには興味があったのでネット検索してみたんですね。
すると、リミッターカットと二次エアシステムカットが何か不鮮明に交じり合ってお話をされている記事を複数見かけました。
それはそれで結構なのですが、「二次エアシステムカット」という言葉に妙に印象に残ったので、今回はそれにまつわる話をテーマとしますね。
まず二次エアシステムをカットする理由として、アクセル全閉時に発生する「パンパン」音を消したいという動機があるようです。
ここで一端整理です、、、
■二次エアと二次エアシステムは全くの別物
■パンパン音は「アフターファイヤ」と呼ばれる現象
■アフターファイヤとバックファイヤは全くの別物
まず「二次エア」。
これはインテークマニホールドの途中に亀裂などが入り、不要な空気を吸って調子が悪くなる原因となる「脇道から入る不正な空気」のことです。
そして「二次エアシステム」。
これは2次空気供給装置と言います。
これは、環境問題対策用の装置で、排気ガスをよりクリーンにする為のものなんです。
だから「二次エア」と違って必要なもの。
その必要な「二次エアシステム」の機能を止めてしまうってどういうこと!?という素朴な疑問を抱くワケです。
エンジンではガソリン混合気をシリンダー内で燃焼させています。このガソリンを完全燃焼できれば最終的には二酸化炭素と水になってしまいます。ところがカーブもあり坂道もありストップ&ゴーもある自動車に、常に完全燃焼を求めるのは厳しいのは良く分かります。
この不完全燃焼で燃え残りのガソリンをそのまま大気中に放出してしまうことが環境問題になってしまっています。このシステム(装置)ではエアクリーナーから新鮮な空気を取り出して、エンジンの排気ポートに吹きかけます。そうすると未燃焼の「生ガス」に多く酸素が加算されます。そうなると非常に燃えやすい状態になります。
DE、排気ポート付近の排気ガスは600℃とか非常に高温であります。ガソリンの自己着火温度は500℃以上と言われておりますので、この排気ガスに空気を吹きかけると瞬時に燃えます。そうすると外気に排出されるガソリン成分を燃やし尽くすことができるんです。
結論から言って、この二次エアシステムを停止してしまうメリットってないように思います。それなのに何故これを止めようとする発想がユーザーに浮かぶのでしょう?
それは「二次エアシステムのせいでパンパン音がでる」と考えてしまうことかな~とか考えています (◎_◎;)
先に述べました通り、パンパン音はアフターファイヤです。これもやっぱり未燃焼の生ガスが排気管の熱で自己着火して爆発することによって出る音です。
コチラは「爆発」、二次エアシステムは「燃焼」。
つまり燃えることについてコントロールできているか否かの問題です。
アフターファイヤは未燃焼の生ガスが濃すぎても薄すぎても発生しません。しかし、現実には「薄め」の時に多く発生します。それは“薄いガスは濃くなり易いが、濃いガスは薄くなりにくい”ことに起因しているのです。
以下はちょっとイメージしづらいかも、ですが、、、(;^_^A
排気ガスというのは実はただ外に排出されているだけでなく、マフラーの狭くなった部分などに反射してエンジンの方に戻ってくるものもあるんです。それが再びエンジンの排気ポートにぶつかって跳ね返され、またマフラー方向に向かいます。これを音速(340m/s)で行ったり来たりを繰り返しています。
そうしているうちに新しくシリンダーで発生した排気ガスとぶつかって密度(濃度)が濃くなる瞬間があります。このとき排ガスに含まれている生ガスも当然濃度が濃くなって「燃えやすい」濃さになった瞬間に自己着火して排気管の中でバクハツするワケ。するとパンッという破裂音が出る寸法です。
高回転でエンジンブレーキを使った瞬間等に生ガスが薄くなるため、急激にアクセルを閉じたとき破裂音が響くケースが最も多いですかね (◎_◎;)
ということで、
タイミングをコントロールしながら排気ポートで生ガスを燃焼させるのが二次エアシステムとなります。ですから二次エアシステムの回路を切断しても、不快なアフターファイヤの発生には何も影響を及ぼさないのですわ...残念。
環境汚染が進むだけですね。
キャブレターによってはアフターファイヤの発生を抑えるための「エアカットバルブ」が付いている車種もあります。しかしこれも完全無欠ではありません。
アフターファイヤを最も少なくするには、
■キャブレターの燃調を整えること
■エンジン吸排気バルブの開閉タイミングを整えること
■排気管を純正にすること
と、まあこうなるワケです。。。
最後になります。
マフラーの先っぽから炎が噴き出るシーンをレースなどでは良く見かけます。
あれは「アフターファイヤ」です。
そして、バックファイヤとは、ファンネルすなわちキャブの入口(吸気口)から火が噴き出すものを指します。
市販車でこれが発生すると大変危険です。車両が火事になります。燃料が吸気口に吹き返している現象なので、アフターファイヤと違って燃焼力も桁違いです。エアクリーナーなどに引火する危険性が極めて高いワケです。
市販車においては燃調や点火時期が狂っているのが明白な症状ですから、すぐさま停止してエンジンを止めてくだされ (◎_◎;)
そしてエアクリーナーなどに引火していないかどうか時間を掛けて点検を。。。
(なんにもな~い。なんて呑気に走り出した後に車両火災になりますぞ (◎_◎;) )
バックファイヤーはホンモノの「火炎」ですからね (-_-;)