整備
昨日、エンジンのヘッドカバーという部位を固定しているボルトを外していました。ここはエンジンの頭頂部にある蓋で、オイルが漏れないようパッキンを挟んで数本の細いボルトで締付してある部位です。
そのネジが外れない...
いくつもの車種を取り扱ってきましたが、ヘッドカバーのボルトが外れないなんて初めての経験です。
しかもこの車種は「六角穴付きボルト」という比較的締付の緩い部位で使用するもので、何十年経てようともこんなに外れない代物ではないはずなんです。
良く見てみますと、、、
ボルトの色が数本違ったり、ワッシャーが入っているものと入っていないものが入り混じっている。しかも六角レンチを当てたところで違和感があるほど六角穴がガバガバになっとる...
これは以前、誰かがヘッドカバーを開けメチャクチャきつく締め付け、後刻それを緩めるとき六角穴をナメて市販のボルトを再度取り付け、それをまたメチャクチャきつく締め付けた結果と推測しました。
まずオートバイのボルトは「親の仇を討つ」ような憎しみとも例えられるほどギュウギュウに締め付けてはいけませぬ。
ボルトがモノを固定できるのは特有のメカニズムがあります。
「締め付けによりボルトが伸び、元に戻ろうとする力」が抵抗となって緩まなくなるワケです。その戻ろうとする力の限界点(降伏点と言います)を超えると、ボルトは元に戻る力を失い伸びきってしまいます。そうなるとねじ山の間隔が広くなって雌ネジの溝と合わなくなって外れなくなってしまいます。
ボルトには、日本で多く使われるメートルネジ、アメリカで多く使われるインチネジがあります。ここではメートルネジを例にしたお話をします。
メートルネジは頭に“M”を用います。次の数字はネジの直径(ミリ)です。よく“M8”とあるのは直径8mmのメートルネジという意味です。
オートバイにはM6ボルトが多く使われております。その適正な締付トルクの目安は10N・mです。これは意外と軽い力で20cmのレンチの先に5kgの重さをブラ下げた程度の力となります。男性の力でギュ~と締めただけで簡単に10kg~15kgの力が掛かりますので、実際に20N・m~30N・mの締付トルクとなっているものとお考え頂いて間違いないでしょう。
M6ボルトに30N・mのトルクを掛けたら、降伏点を遥かに超えてネジ切れる可能性は大です。
【締付トルクの目安】
■M6ボルト 10N・m
■M8ボルト 20N・m
■M10ボルト 40N・m
■M12ボルト 80N・m
オーバートルクで締め付けられたボルトはこうなります。伸びている部位がお解り頂けるかと思います。
(真ん中の細くなった部分です:伸びた分、直径が細くなります。)
このボルトはDEMOTA資料館(笑)で保管しております。
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