整備
コイルスプリングと空気スプリング
フロントフォーク整備の要点
SRX600のフロントフォーク整備をしておりました。
分解すると、中には、コイルスプリング、オイル、ピストンなどが入っております。
フロントフォークの整備で大切なのは、大きく二つに分類されます。
(もちろん細かな重要点は沢山あるんですよ。)
それは、スプリングの向きと空気量なんです。
は?空気?オイルじゃなくて??という声が聞こえてきます。そうなんです。オイル量から生じる空気量が非常に重要なんです。
ではまずコイルスプリングの話から(スプリングの固さとか材質云々は除外)
画像を見てくださいませ。
コイルスプリングの上と下で巻数(間隔)が違いますね。これは不等ピッチスプリングというものです。
スプリングは太さや巻数などで振動(伸び縮み)する周波数が決まります。これを固有振動数と言いますが、この不等ピッチスプリングでは1本に2種類のバネがくっついているわけです。
道路の凸凹の衝撃を吸収する際にスプリングは一定スピードで伸び縮みを繰り返します。道路からの衝撃振動数とスプリングの固有振動数の波長が合ってしまう(共振)と衝撃を全く吸収できなかったり、逆に強い反発となってしまったりして車体の挙動が乱れて危険です。これをサージングといいます。
そこで、
固有振動数の違うバネを抱き合わせて、最低でもどちらか一方は共振しないよう設計されたものが不等ピッチスプリングです。
DE、問題はその“向き”です。
■らせん間隔の狭い方は上にするか下にするか?
■らせん間隔の広い方は下にするか上にするか? ←同じことやッΣ(・◇・;)
ここでアタマを使ってみます。バネの間隔が狭いということは密度が高いということ、つまり鉄の分量が多く結果として重たい。
動く部分が重たいと慣性が強くて伸び縮み速度がゆっくりになるという現象が起こります。その結果、速度が上がるほど路面の細かな凸凹に車輪の上下が追いつかず、路面からタイヤが離れてしまうこともある『バネ下重量が重くて路面追従性が悪い』という危険な状態となります。
つまり、
不等ピッチスプリングの『らせん間隔の狭い方は上にする』が一般的には正解。フォークのアウターチューブと連動して動くピストンから重たい方を離すイメージです。
次に空気量の話。。。
フロントフォークにはオイルが入っておりますが、筒は満杯になっているわけではありません。そんなことをすればフォークは全く伸び縮みしなくなってしまいます。すなわち、それは『液体は圧縮されない』ことを意味しております。
このオイルは、特にスプリングが伸びる際にブレーキを掛けて伸び速度を落とすことが役目です。
伸び縮みの弾力を主に決定するのが不等ピッチスプリングですが、実はもう一つのスプリングがあります。
フォークの筒の上フタからオイルの上端面(油面)までは空気が入っており、空気は弾力性がありますので、圧縮されることでスプリングと同じ役目を果たしているのです。
オイルが少ないと空気量が多くなって『バネ力が弱い』、オイルが多いと空気量が少なくなって『バネ力が強い』ということになります。
つまり、フロントフォークの弾力を微調整できるワケです。
ですから、フロントフォークの整備をする際に大事なことは、単にオイルの量ではなくて、オイルの油面がどの位置(高さ)にあるか、ということなのです。
どの整備書にも必ずオイルレベルの調整が書かれているのはこの為なんですね。
ご自身で整備なさるときはこの辺に気を付けてやってくださいませ。

とあるオートバイの整備書(ご参考)
オートバイの車種ごとにオイルレベル設定は違いますからご注意ください。
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