バッテリーと充電装置について
整備技術
お客様からご質問いただきました

バッテリーと充電装置について

先日、お客様から質問を頂戴しました。
すばらしいご質問と思いましたので紹介させて頂きます^^

『バッテリーの良し悪しによってそこまで使用年数が変わってしまうのはとても驚きました。
また、レギュレータの劣化によって充電電圧は低下するものなのでしょうか。
充電電圧の低下というと、ジェネレータの故障をイメージしてしまいます。』
要約させて頂くとこういったことでした。

これは、廉価版バッテリーにおける“廉価”の理由と、絶版車ゆえにバッテリー充電が不十分になる場合の原因推定は?という内容でございました。

これについて、以下の通り回答させて頂きました。

①バッテリーについて
 安物か、そうでないかの最大の違いは「安定性」です。
 バッテリーは通常6個のセルで構成されており、1セル2.1V程度の起電力があり、理論値は2.1V×6セル=12.6Vとなります。
 廉価バッテリーでもこの12.6Vを確保できているものがほとんどですが、「ハズレ」の場合は1年程度でも、12V以下に落ち込んでしまうものがあるということです。
 アタリの場合5年間大丈夫なものもあれば、ハズレで1年以内にダメになるものもあるということで、有名メーカーの国産バッテリーにはそのバラツキがほとんどありません。これが決定的なお値段の差となっております。
 (ちなみに、DEさんとしてはコスパの点で古河電池製がイチオシでございます。)

②レギュレータについて
 正式名称を「レギュレートレクチファイア」といいます。「電圧調整・整流器」となります。オートバイの発電機はジェネレータと呼ばれていまして、これは「オルタネータ」と同意味です。
 オルタネータとは交流発電機のことです。オートバイは三相交流発電をしておりまして、発電電圧は数十ボルトに達すると言われています。クルマでは発電量そのものをオルタネータ自体の発電カットで調整できるのですが、構造上オートバイは常時発電しっぱなしです。
 別の装置を用いて、その電圧・電流について他の電気電子部品を駆動できる範囲に調整してあげないといけません。
 
 まず交流(AC)を“直流(DC)”に変換するのがレクチファイア(整流器)です。ダイオードを用いて⊕⊖が常に逆転する交流を一方通行(直流)に変換するのです。(小排気量車両は半波整流が多く、中大型車は全波整流という高性能な仕様が多いです。)
 
 そして、発電電圧(仮に20.0Vとします)を調整電圧(13.5~14.5V)に変換する変圧器がレギュレーターです。
※なぜ13.5~14.5Vなのか?といいますと、オートバイの電装品は12Vバッテリーで駆動するよう設計されており、充電する(バッテリーに電気を押し込む)には12.6V以上の電圧(電位差)が必要だからです。一方、高すぎる電圧はバッテリーや電装品を壊します。
 このレギュレータでは、電気エネルギーの一部を熱エネルギーに変えて放熱し電圧を下げていきます。ヒートシンク(ヒダヒダの放熱板)が付帯しているのはその放熱を手助けするためです。
 このレギュレートレクチファイアはトランジスタ(IC)・抵抗・ツェナーダイオード等の電子部品で構成されており、それは高電圧、高温に常に晒される厳しい環境の下で使用されています。
 大きい電位差と大きい温度差、湿気等で特に劣化が顕著に進みやすい部品の一つです。
 余談ですが、上記のリクツから規定容量外のバッテリーを用いると、時によりレギュレートレクチファイアに過剰な負荷をかけることにもなります。

③絶版車のレギュレートレクチファイアの今後について
 発電した電気をバッテリーに蓄電させるには、上記から12.6V以上の電圧が必要となります。それゆえオートバイによって多少異なりますが、調整電圧を 13.5~14.5Vに設定しているのは一般的です。30年も経つ絶版車は、新車時は14V、今計測したときには13Vとなっているなんてこともザラにございます。
 仮に今この状態でも充放電のバランスは保てておりますが、劣化進行は明白ですし、外付け電装品が多い昨今の状況を鑑みると交換しても良い水準かと思います。

※レギュレートレクチファイアの不具合はジェネレータの故障頻度に比べ遥かに多いです。ジェネレータは、固定されたコイル(ステータという)の周りを永久磁石が回転している単純な構造のため、減耗による故障が少ないのです。ジェネレータの故障は、湿気が溜まりコイルがサビて断線した事により発電ゼロになるというものが多いです

【巻末:おったまげ話(実話)】
ジェネレータの永久磁石はフライホイールの内側に貼り付けられてるのが一般的です。
過去にまったく発電しないオートバイがあり点検してみましたところ、意図的にその永久磁石が全部撤去されていたという事象がありました。あまりにも意外な結末でしたねぇ。
理由は定かではありませんが、フライホイールを軽くしてレスポンス向上を狙ったのかな?とも思えます。(あまりにナナメ左上からの発想に「何となく思う」が正確)
でもこれはサーキットでの短距離レースでのみ可能な手法です。
一般道では中低速トルクは薄くなる、バッテリーの電気量は減る一方といった害悪を生む事でしかありませぬ。。。
右が正常、左が永久磁石撤去状態のフライホイール
トップ画像は、DEさんが実際に磁石が撤去されたのを確認したものです。


<関連記事>

自己紹介
バイクガレージDEMOTAの店主です。 バイクの話を中心に、たまにバイク以外の話も書いていきます。 すべての話に「おみや」をご用意しています。是非読んでください。
詳しくはこちら
人気ないかも

オートバイの延命ポイント・その①

お客様からご質問(ブログネタ)を頂戴しました。 ありがとうご…
予防交換と部品ストック

ABSの正体

今のオートバイはABS搭載が義務化されて数年が経過しました。 …
人工振動の謎

バッテリーと充電装置について

先日、お客様から質問を頂戴しました。 すばらしいご質問と思い…
永久磁石撤去の衝撃
いつもの工場長
整備のはなし









技術商品整備業界ネタ法令規則雑ネタ食ツーツーリングイベントALL
営業時間はカレンダー通りです。
×
お店あいてます 営業時間外です
×
+ Home

DEMOTAについての説明
 + Shopkeeper - 店主紹介
 + About - 概要 / 事業内容 / アクセス
 + Philosophy - 考え方
 + Access Map - 案内

バイク
 + オートバイ / 販売中 / 図鑑

オリジナルコンテンツ
 + Restore - レストアのポイント
 + Blog - 店主ブログ
 + News - ニュース

WEBサイトの約束事
 + Site policy - 利用規約
 + Privacy policy - 個人情報取扱方針