整備技術
チェーンは外れなきゃイイ、ってもんではありませぬ
ドライブチェーンのタワミは何故に大切?
オートバイのドライブチェーン(以下、チェーンと表記)はお客様がメンテナンスできる部位です。
お客様も大変重要な部品であることは良くご理解頂いていると思います。
何せ、高速道路走行中にチェーンが外れたりしたら...と考えるとオソロシイことです (◎_◎;)
チェーンのメンテナンスには以下があります。
■汚れ落とし
なぜ汚れるとヤバいのか?と考えたことありますか??
その理由はチェーンオイルにあります。チェーン用オイルはとても粘っこく作られています。高速回転による遠心力が働いても飛散しずらくする為です。
走行していると路上にある固い石コロや砂利、鉄粉をタイヤが巻き上げて、チェーンにまとわり付きます。オイルの“粘り”によってベッタリ吸着してしまうと、それら異物がヤスリとなって金属部品(スプロケットやチェーン)を偏摩耗させてしまいます。
ですから、チェーンに給油するだけではダメで、まず油落としで異物を洗浄してから新しいオイルを塗布することが必要なのです。オイルの上塗りはリスクが大きい行為と思った方が良いです。
■チェーンのタワミ調整
今日の本題ですね。 チェーンに遊びが必要な理由を考えたことはありますか?
そりぁあ、タワミがないと摩擦が大きくなって部品が痛むからじゃないか!とお答えになるでしょう。
その通り!
では次に、なぜオートバイの取説には3cmとか結構大きなタワミ代が指定されているのでしょうか?これに答えられるお客様はオートバイ通ですね^^
本来、チェーンのタワミは2mmくらいが理想です。2センチではありません、2ミリです。タワミが大きくても摩擦が増えたり不要な場所に応力が掛かったりして良くないのです。第一、スプロケットからチェーンが外れるリスクも増えます。
でも2センチとか3センチのタワミは絶対に必要なのです。
その理由はオートバイの構造にあります。オートバイにはスイングアームがあり車体とタイヤの位置決めをしています。問題はその“スイング”する半径の大きさにあります。
リヤタイヤを駆動するドリブンスプロケットは、エンジン側のドライブスプロケットにチェーンで繋がれています。つまり、後輪が道路の凹凸に合わせて上下するときは各スプロケット軸間の直線距離を半径としてスイングする理屈です。
ところが実際には車輪はスイングアームで固定されますので、アームの中心軸と車軸の間の距離を半径としてタイヤは上下運動せざるを得ません。
スプロケット軸間の長さとスイングアーム長は、オートバイでは違っていますよね。そうなんです、半径の違う2つの円が同時に回転すると円の軌道が一致しません。チェーンのタワミがゼロですとスイングアームが上下するときにチェーンに凄い応力が掛かって切れたり、削れたり、伸びたりしちゃうのです。
では理想的なチェーンのタワミ調整とはどのようなものでしょうか?
それは、
『ドライブスプロケットの中心軸、スイングアーム取付軸、後輪軸の3つが一直線に並んだとき、チェーンのタワミが0~5mm(2mm程度)になるようにすること』です。この時のタワミがゼロ未満(マイナス)であったりするとチェーンやスプロケット、ハブベアリングの破損を招くワケです。
しかし、実際は体重を掛けてもナカナカこれらの軸が一直線になるようにはできませんよね。メッチャ大きな荷重を掛けませんと。。。
ですから、メーカーでは車種に応じてタワミ幅を指定しています。これも定められた条件でやらないと無効になってしまいます。平な地面で適正なタイヤ空気圧にして、適正な荷重を掛けたときの条件です。
ちなみに自動車業界では人間一人を55kgで設定しています。現代では軽すぎませんか?って感じです。
モトクロッサーやオフローダーのチェーンがダルダルなのは、サスペンションストロークが巨大でスイングアームが大きく回転(スイング)するからなのです
Σ(・□・;)
あれで良く外れないなー (;^_^A なんて思ったりしますけどね。これが “ザ・技術” なんでしょう^^

赤線と青線の長さが違いますね。
この状態でチェーンのタワミが少ないと、赤線と青線が重なったとき(サスが縮んだとき)にチェーンの長さが足りなくなって巨大なストレスが掛かってしまいます。