整備技術
部品の役割をちゃんと考えよう
キャブレター整備の落とし穴
キャブレターのオーバーホールをしております。
中々の旧車のもので興味津々やらせて頂いております。
とても傷んだキャブとそこそこ傷んだキャブの良部品をチョイスし、ニコイチで復活させるというもの。
歴戦の勇車だけあって、そりぁもう部品は傷だらけ... 歴代のオーナー様が工具で無理矢理にガシガシやってきたのでしょうねぇ (◎_◎;)
DE、今回の整備ではサービスマニュアルなし、正確なサービスデータなし、ということでネットでチクチク調べながら作業を進めていきました。当然、旧車なのでネットの情報も少ないワケですが。
無料AIに聞くと嘘だろーって答えが返ってきます。皆さま、やっぱりネットの情報だけ鵜呑みにして作業するのはリスクありますことご認識されますよう。。。
今回、キャブレター修理の専門店というお店のHPにも辿りつきました。丁度、同型のキャブが写真付きで記事になっており、こりゃあイイや⤴と思って参考にせて頂きましたとさ。
パーツ一つ一つサビを落としながら進めていきますので結構な時間が掛かります。疲れてくると思考力も落ちてくるという体験をまざまざとさせて頂きました。
今回オーダーの一つに「燃料がオーバーフローする」ことの改善というものがありまして。
こうした課題について一般的には「フロートの高さが規定値を外れているんだろう」と考えるワケです。
DE、調整を試みるがその基準値がドコを探しても出てこない、否、ネットで皆ちがうことを言っていらっしゃる...
もう手探りでトライ&エラーをやっていくワケです。
そして頑張って形になってきたところで仮組してテストを行う流れです。
このキャブは今の型と違って燃料を抜くドレン穴が大きい。径13φもあります。
1990年代の車両であれば長さ50cm 径4~5mm程度の透明なシリコンチューブをスポッと取り付けて燃料の油面高を図るワケです。が、この太さでは正確な計測がしずらい。
ですので、奥の手とばかりにフロートチャンバーのケースを外してフロートむき出しにして、キャブを透明なコップに乗せる手段を用います。
丁度、BBQで出てくるプラスチック製の450ccビアグラスのイメージですね。このコップで暫定的にフロート室を作ります。
燃料を流してフロートが浮いて栓がされ、コップから燃料があふれなければOK。次はコップの淵から液面がどのくらい下にあるかを確認して3mmくらいにあれば更にOK(このキャブでは)
おし! 結果バッチリ!
ヨシ、本組みするぞーと進めていきました。サービスマニュアルがないのでもともと手元に来たときのカタチに戻します。キャブ修理専門店の画像も見ながら、ですね。
完全に組み付けたところで念のために再度の確認テストを。
そして悪夢が起きました。燃料が噴き出します。それもビュービューと。。。
チョロチョロではなく...
一瞬パニックです (◎_◎;)
冷静に冷静に、と自分をなだめすかしてもう一度点検します。
ふと、あれっ?と思いました。5cmくらいのホースがキャブ同士(2気筒車)をつないでいます。燃料を流すホースとは別のホースです。
(即答え合わせになりますが)
違和感の原因は、キャブのエアベントをブリッジして左右につないでいたことでした。
なんと初心者みたいなことをしてしまいました。もともとこの形で組み付けてあったので、と何も考えずに行動した結果です😢
ここからは原理編でゴザイマス。
原因は1番キャブと2番キャブの各エアベント穴にホースがブリッジ装着されていたことです。(トップ画像参照)
「エアベント穴」とは燃料がフロートチャンバーに流入するときフロート室に溜まっていたエアを大気放出するための出口穴のことです。
ブリッジ配管によりこの穴が結果として塞がれた形となりました。既にエアが充満している部屋に燃料を詰め込むとフロートチャンバー内の圧力が上がっていきます。
その結果の作用として、その圧力は別の穴から抜けるようになるワケです。「その穴」とはメインジェットです。メインジェットは低いところにあって一番早く燃料に浸かります。ですから、圧力を逃がす穴をくぐるのはエアではなくて燃料ということになります。
DE、
その燃料はメインジェット⇒スロージェット⇒メインエアジェット&パイロットエアジェットのルートで逆流して燃料が噴き出す現象が生じると言った寸法ですね。霧吹きのボトルを手で押し込むのと同じ原理です。
そうなんです。
このエアベント穴には長いホースを付けて取り回し、片方には何も繋いではイケナイということをボーっとして失念していたワケです。
(オートバイがひっくり返ったとき、燃料が漏れ出るのもこのエアベントホースからなのです。)
というワケでして、最後に実車搭載時のご注意でゴザイマス。
■1番キャブ、2番キャブ、3番4番...と、各々のエアベントにそれぞれ独立した長いホースを取り付けて下さいね。
車種によっては集合管として1本に束ねるものもあります
■そして、それぞれホースの端面反対側は塞がないこと。
■実車に取り付ける時はホースを上手に取り回し、端面をなるべくエンジンから離してくださいね。
転倒とかで燃料が漏れたときエンジンやマフラーにかからないようにします。
皆さまのオートバイはどうなっているのか、試しに実車を見てみてくださいませ。
ホースが鋭角に折れ曲がっていたりしたら要注意ってことで (;^_^A
蛇足ですが。。。
このキャブ修理専門店様、
あの写真通りの状態で納品したら、お客様の下で燃料が噴き出すだろーなー
ナンマイダブ ナンマイダブ (◎_◎;)

フロートチャンバーを開けたところです。
黒いのがフロート(浮き)です。この高さで燃料の油面高が決定されます。
高いと燃調は濃く、低すぎると燃調は薄くなります。
高すぎると燃料が外にあふれ出します。。。