エンジンは“気筒”数が多い方がすごいのか?
雑ネタ技術

エンジンは“気筒”数が多い方がすごいのか?

トップ画像はホンダRC166レーサーの250cc6気筒エンジンです^^
メチャクチャ痺れます。

最近のエンジンは2気筒が多くなりましたね。大型でも3気筒車が台頭して4気筒以上のオートバイの割合が少なくなったような気がしています。

理由は以下の通りと考えます。
■コストダウン。部品点数を減らしにかかっています。
■燃費競争の激化

そうなんです。
最近のオートバイは非常に厳しい排ガス規制をクリアするために、その対策部品に費用を掛けています。でも販売価格を無制限に上げることができないので、エンジンの気筒数を減らし、部品点数を削減していることがあります。
超単純計算しても1気筒少ないとピントン、コンロッドが1つづつ、バルブ周りは4つづつの部品が不要となり、クランクシャフトも短く簡素に安くできるってワケです。

燃費競争の激化は排ガス規制と密接な関係性があります。燃費が良いということは混合気が薄い目ということです。ガソリンが濃いと有害ガスが多く出やすいのは理解し易いところかと思います。また、部品点数を少なくすることで車体を軽量化し燃費を稼ぐ狙いもありそうです。

スルドイ方は「だったら、2気筒だって4気筒だって理論空燃比に沿って完全燃焼さえすれば排ガスの有毒度は同じなのでは?」と考えるでしょう。
その通りです!
でもやはり4気筒エンジンは2気筒よりガソリンが濃くなりやすいのです。
その理由は“フリクションロス”と言われる回転時の機械摩擦です。内部摩擦が4気筒エンジンは大きいので、摩擦損失分をリカバーすべくガソリンを濃くしてエンジン回転を安定させます。摩擦損失が大きくなる一番の要因は、バルブ数(バルブスプリング数)が関係しています。シリンダーヘッドに組付けられているバルブは1気筒あたり2~4本です。それぞれのバルブには物凄く固いスプリングが組み付けてあります。このスプリングは専用工具を使わないと簡単には縮まないほど固いです。
このスプリングを押し下げるときに大きな摩擦力が生じてエンジンの回転抵抗になっています。ですから同一排気量で気筒数を増やすとフリクションロスは急激に大きくなって燃費が悪くなります。
こう言うと「だったら4気筒の方がパワーダウンが大きいのでは?」と考える方は流石でゴザイマス。
その通り、ガソリンが濃い≒パワーロスが大きいのは事実ですね。

ここで考えていきたいのは“出力(=馬力)”の算出方法です。
簡単に仕訳けると 軸回転力(トルク)×軸回転数×一定係数で計算します。
4ストロークエンジンは、吸入⇒圧縮⇒燃焼⇒排気の4行程で回転します。つまり、ピストンが下がって上がってを2回繰り返す間(4行程)に1回ガソリンを燃焼させます。この時の膨張力がクランクシャフトに伝わって“軸トルク”となります。
例えば400ccを4気筒で割りますと1気筒あたり100ccです。そして、その燃焼タイミングを1行程づつずらすとクランクシャフトが2回転する4行程すべてでどこかの気筒が切れ目なく燃焼していることになります。

仮に1→3→2→4のシリンダ順で燃焼しますと、
1番シリンダ ■ 吸入⇒圧縮⇒燃焼⇒排気
2番シリンダ ■ 燃焼⇒排気⇒吸入⇒圧縮
3番シリンダ ■ 排気⇒吸入⇒圧縮⇒燃焼
4番シリンダ ■ 圧縮⇒燃焼⇒排気⇒吸入  となるのです。

そうなるとクランクシャフトに切れ目なく燃焼における膨張力が掛かる=軸トルクが安定し、かつ一定数強くなるということになります。
そして注目すべきは4気筒の方が理論的に高回転で回るということです。ピストンは1往復でクランク1回転します。400cc1気筒と100cc1気筒では、ピストンの往復距離(ストローク)が100ccシリンダの方が短いのでクランク回転数が上がる理屈です。

はい。そうです。
【強く安定したトルク×高い回転数×係数】(=高出力) は、【フリクションロス増加分】を差し引いてもパワーアップが見込める、そう4気筒の方が力強いのはその理屈です。
気筒数を増やしたときのパワーアップ分とそれを損なう摩擦損失および重量とのバランスがあって気筒数がメーカーでも決められていると思うんです。
その証左として、最近は技術開発が進んだ結果でV12よりV10とかV8エンジンがレース界でも主流なのが挙げられます。
ですから気筒数が多いのは必ずしもスゴイとはいえませぬ。(メカニズム的にはワクワクするほどスゴイですが...)が、4気筒以上は理想的な回転バランスが得られハイパワー化し易いのですね。

最近の傾向としては排ガス基準と燃費基準を満たすため、少気筒化、馬力制限、コンピュータ制御のマイルド化が加速していると思います。
対して、2000年前後のオートバイは、その意味では割と良く精錬されつつもワイルドさもあり、バイカーには魅力的な逸品も多いのだろうと想像しますね。

最後になりますが、コストダウンについて。
DEさんは某自動車メーカーに20年在籍しておりました。開発本部の技術者さんと会話する機会も多々あり、「ここだけ」の話を沢山しましたね。
『メーカーではコストダウンが常に求められる。いつも削減額を問われる。結構ジゴク。だから、初期設計段階で部品を多く仕込んでおく。つまりオーバースペック仕様となっている。』という事実です。
内緒ですよ。『ここだけ』の話ですから。。。
ホンダRC166(DOHC6気筒 排気量250cc)
最高出力 60ps以上/18,000rpm
最高速度 240km/h以上
7段変速

ゾクゾクしますねー


自己紹介
バイクガレージDEMOTAの店主です。 バイクの話を中心に、たまにバイク以外の話も書いていきます。 すべての話に「おみや」をご用意しています。是非読んでください。
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