整備技術
長年動かしていないオートバイの再生を時々頼まれます。
まず車両を引取りに行くところから大概スタートします。そこで定番となる事件があるワケです。
オートバイが押しても引いても動かない。。。
車輪が回らない...
主な原因は4つくらいですかね
①アクスルベアリングが回らない
②ギヤが入ったまま抜けない
③ブレーキが利いたままになっている
④クラッチが貼り付いている
①ですが、
何年も同じ姿勢でオートバイを鎮座させておくと、地面と垂直となるベアリング上部だけに荷重(圧力)が掛かり続けます。その部分だけ転がり軸受(ベアリング)が変形し「転がらない軸受」となります。
②ですが、
ミッションが元々壊れていない場合、あまり発生することはないと思います。
もちろんエンジンオイルが変質してガム状物質に変わってしまっていたらその限りではありません。
③ですが、
ブレーキレバーは戻っているのに「ブレーキ掛けたままの状態」って?
今回の主題です。以下に書かせて頂こうと思います。
④ですが、
まあ、ニュートラルにしておけば一応問題ありません...
クラッチというのはフリクションプレートとドリブンプレートが一対となってそれが×4組程度(計8枚)で構成されています。それがエンジンオイルに常に浸ってはおります。
が、クラッチレバーを握っていない限りフリクションプレートとドリブンプレートが強力なスプリングで圧着され続けています。フリクションプレートというのは正に「摩擦材板」であります。この摩擦材はフェノール樹脂という熱硬化性樹脂でできています。
貼り付きの主原因はエンジンオイルと思われます。エンジンの加熱と冷却による温度差で生じた(大気中の)水分がオイルに取り込まれ、そのオイルに浸かっているクラッチプレートを劣化させるのではないかと。
ドリブンプレートはスチールですのでサビます。フリクションプレートのフェノール樹脂は水酸化ナトリウムによる加水分解でベタベタ、ザラザラ化が進むのではないかと。
で、スプリングの圧着力で貼り付くと。(しらんけど)
ですから、長期間乗らないときはエンジンオイルを新品にしておいた方が実害リスクが減るような気がします。。。
で、
ディスクブレーキの話ですが、レバーを握っていないのにブレーキがかかっている状態は不思議ですね?
以前のコラムでブレーキのピストンとシールが固着しちゃう様なことを書きました。
で、もう少し細かく記しますとシールの材料が変質してピストンに張り付くこともそうですし、キャリパーのシールがハマる溝にサビが沸いて表面が膨張することもそうです。キャリパーの溝が浅くなった結果シールを外側から更に首絞めるような形になって強力な天然ブレーキ状態になるのかと。
キャリパーはアルミ合金でてきています。アルミってサビるの?ってイメージですが実際にサビるんです。白サビってヤツです。
この白サビってヤツを調べると、
『アルミがサビるのは表面に付着した「汚れ」が原因。汚れの中で最も影響しているのが雨にも含まれている塩分。付着した雨水を放置していると、その塩分が「アルカリ水溶液(水酸化ナトリウム)」に変化し、アルミの表面から白錆びを発生させていきます。アルミ表面の酸化被膜(アルマイト)をも溶かしてしまいます。』ですと。
ブレーキは雨水に一番近いところにある装置の一つですから、水が入って溜まりやすいワケです。
であるからアルカリ水溶液に長期間漬け込んでサビを熟成して巨大化させる結果が生じるワケです。
巨大化したサビがヒストンの首輪(シール)を締め上げるワケでゴザイマス。
これって長期間オートバイを動かさないときの対策ってどうしましょうねーー?
外側からエアプローしてもあまり効果ないし。。。
分解して水分を飛ばしてから保存するなんて技はフツーしないし。。。
結論、
雨の中走った後は、すぐに快晴の元で再走行して摩擦熱や走行風で雨水を蒸発させておく!
ナンノコッチャ (◎_◎;)

ビッタリ貼り付いたクラッチプレートの固着跡でゴザイマス (◎_◎;)
一回、表面研磨した状態でコレ⤵

新品はコチラ!
<関連記事>