整備業界ネタ技術
オイルシールって大事(資料出典:NOK株式会社)
続・フロントフォークのオーバーホール
先日、フロントフォークのオーバーホールをしておりまして、またしてもスゴイ光景に出くわしました。。。
そのフォークからは明らかにオイル滲みがありました。
オーバーホールでは、
分解して、洗浄して、オイルシールを打ち換えて、オイルを入れて、油面高を整えて、スプリングを入れて、キャップをして完了です。
その一つ一つの工程に更に細かな作業があるんですが、そこは今回省略で。
オイルシールの上にはまっているダストシールをハツってみますと、明らかにオイルが漏れて溜まっています。そのオイル溜まりには何か別の物体が。。。
スライムか?オイルがスラッジ化したものか??と思って摘まみ上げるとコンニャクに近い物体でした。
『もしかして、これは液体ガスケット!?』そうです、そーなんです。ダストシールとオイルシールの間に液体ガスケットを注入したようです。
オイル漏れが発生した対応策として液ガスをブチ込んだのでしょうが全く無効な策でして、残念でした、のただ一言でゴザイマス。(液体ガスケットは可動部のシールには不向きです。ほぼ無力と言って良いでしょう。)
ただ、これが、オークション出品業者が高値落札を狙って仕組んだ小細工だとしたら悪質です。
実際に、某ネットオークション等ではその場しのぎの小細工をして販売している業者様が一定数いらっしゃるようです。
今回は前オーナー様が頑張って工夫したのか、業者が小細工したのかは判別できませんが...
フロントフォークの構造ですが、筒の中には、スプリング、オイル、空気が封入されています。
空気は上に、オイルは下に溜まります。そのオイルが溜まっている部分に可動部があって、外側の筒と内側の筒がスライドしながら伸び縮みする仕組みです。
当然にオイルが筒と筒のスキマから漏れ出さないないように『オイルシール』というゴムのような部品が入っています。このオイルシールという部品が大変なスグレモノでして、高温・高圧下・高速で動く部分からオイルを逃がさないワケです。例えば、エンジンでは100℃のオイルに浸かりながら、1分間に1万回転する部位に使われて、場合により10万キロも耐えることができるなんて凄すぎです。
フロントフォークでは内側の筒が回転するのではなく、15cmくらい上下にスライドするのですから、厚さ1cmのオイルシールには負担が大きいのでは?なんて想像しています。
説明資料にあるNOKさんは世界で活躍するオイルシールメーカーの大手でして、一時期は国内シェア80%という驚異的な会社でした(今はしらんけど)
DEさんも新卒の就活でNOKさんを受験しましたが、2次面接で落選しました (;^_^A
それでも素晴らしい会社だと思っています、今でも。。。
では、下の図を御参照くださいませ。
オイルシールは“金属環”と“ばね”の間の溝に油圧が掛かると“シールリップ部”が広がります。その“リップ先端部”が軸に圧着して点接触することでオイルをカキ落す仕組みです。「リップ先端部が軸に圧着して点接触」がキーワードでして、圧着ができなくなるとオイルが漏れだすのです。
その原因として、オイルシール自体の劣化はありますが、それ以上に多いのがインナーチューブ(内側の筒)に生じる点サビです。インナーチューブは金属メッキが施工されております。メッキと地金の間にサビがでるとメッキを外側に盛り上げてしまいます。そのメッキが破れて外側にめくれるワケです。そのメッキが金属であることからナイフのように鋭利なトゲ(バリ)となってオイルシールを傷つけてオイル漏れが生じます。
フォークのオーバーホールでは、インナーチューブのトゲ(バリ)除去を時間を掛けて実施します。
インナーチューブを交換できれば最高なのです。が、高額であったりメーカー廃番であったりすることがしばしばなので、サンドペーパーで延々シコシコとサビ落とししています。
ポイント
■#1500以上のサンドペーパーを使用
■フォークを垂直に立て、水平方向にサンドペーパーを当てる
■指で撫でて段差(バリ)が感じられなくなるまで、点サビ一つづつサンドペーパーを当てる(点サビ一つづつです。延々とやります)
その他、オイルシールを抜く作業、オイルシールを打ち込む作業、インナーとアウターを連結するボトムのボルトを外す・締める作業と、中々に難易度がある作業が目白押しです。一般の方のDIY整備はあまりお奨めできません。
中古車では、これらの整備には時間とコストが相当掛かるため、小細工をして誤魔化す業者が出てくるのも頷けます。(頷いてはイケマセンが (-_-;))
DEMOTAでは、具合の芳しくない車両には必ず上記の作業を行ってご提供しております。
高速で走行中にフロントのオイルシールが抜けて、オイル吹いて操舵不能になってしまったら大変ですから。
安く買えても、後から高額修理が付き物であるような車両を良く見かけます。
フロントフォークに液ガス使っているなんて一般のお客様には判りませんよねぇ。。。

資料出典:NOK株式会社

左:オイルシール上に詰められた液体ガスケット
右:実際のフォークシール(オイルシール)
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