燃料が高い所から低い所に流れる原理は重力と圧力差です?
整備技術
新年初長文 (◎_◎;)

燃料が高い所から低い所に流れる原理は重力と圧力差です?

ここ数日あれこれやっております。
しばらく長く走行して、比較的長い信号待ちなどでエンジンがストールしてしまい再始動もできなくなる。(バッテリーが上がるのを恐れて)数十分放置したあとでセルを回すと難なく再始動する。そしてしばらく走行して信号待ちするとまたエンジンストールにて再始動不可に。
エンジン始動の都度セルは元気に回っているし、始動したときはすべての気筒に失火がない様子。

大排気量車で高熱に弱いタイプの車両でありましたので当初『パーコレーション』という現象を疑いました。パーコレーションとはキャブのガソリンが沸騰して気泡が発生し、その気泡が実質的なガス欠状態を引き起こしてエンジンの回転を不安定にさせるというものです。
でも、今は“冬”ですし... その可能性は高くはなさそうです。
ちなみにガソリンは35℃くらいから沸騰するんですよ。水とは違うんです。
絶版車の多くは現代の40℃超の世界では不調になる蓋然性は高いんですね。メーカーさんでは当時こんな世界を想定しての設計となっておりませんので (◎_◎;)

パーコレーションとは、すなわち外部環境によりガス欠を引き起こすということ。これに似た症例を探さないとなりません。
実車で症例再現を試みました。無風アイドリングでエンジンを回したところ数十分でエンジンストールしました。氷点下に近い外気温でしたのでオーバーヒートのせいではありません。そして再始動しません。30分放置しました。すると普通に再始動できます。エンジン異音などは皆無です。
そして燃料系統は高温になっていないということはパーコレーションではないということです。

DEは何でしょう??
『ガソリン満タンなのにガス欠』がキーポイントです。
■燃料ラインのどこかが詰まっている → 一応エンジンは動くワケだから可能性は低い
■キャブセッティングが合っていない → 低速から高速域までストレスなく回るので可能性は低い
■燃料ホースが基準より細い → 燃料供給が追い付かない可能性あり
⇒ということはホースに限らず、燃料ラインのどこかにガソリンが通りづらい箇所があるのでは?という仮説を立てました。
燃料ラインとは【タンク⇒コック⇒ホース⇒キャブ】と、ここでは定義します。

このオートバイは相当前に絶版となった車両です。おそらく燃料コックユニットにあるフィルターが無くなっているのでしょう。燃料ホースの間に社外品のフィルターがあることに気付きました。
そうなると燃料ラインは【タンク⇒コック⇒ホース⇒外部フィルター⇒ホース⇒キャブ】というフローです。
DE、このフィルターの動きに着目しました。
エンジンが掛かるとフィルター内のガソリンがどんどん減っていき一向に継ぎ足されることがありません。当然しばらくしてエンジンは止まりました。再始動もできません。しばらく見ていますとポタポタとフィルター内にガソリンが溜まっていきます。
つまりフィルターより下側では燃料は消費されていますが、フィルターより上側から燃料が送られてこないという事実が明白となりました。
これは同時に外部フィルターの詰まりではないということも意味しています。
となると、タンクか燃料コックユニットまたはその両方に原因があるのかと。

燃料コックユニットを分解してみました。
フィルター部分が無くなっている代わりにステンレスメッシュ薄板が丸められてフィルターの代用品として取り付けられていました。
「なかなかの名案だなー」と感心しましたが、施工が芳しくなく通路自体が細く狭くなってしまっておりました。更に通路にはスラッジが溜まって狭窄しているのを発見。これだ!と思いました。

燃料コックユニットをオーバーホールしてスイスイ液体が流れるようにすると、もう一つの可能性に気付きました。タンクの空気取り入れ口も詰まっているのではないか?と。タンク内の気圧が外気と同じになりませんと燃料はキャブに落ちていきませぬ。燃料は走ると減りますから、減った分のタンク容積を埋めるだけの空気を取り込まなければなりませぬ。案の定、そのワンウェイバルブの動きもシブくなっておりましたとさ。併せて復元作業をします。
ついでに、コックから外部フィルターまでのホースも径の太いものに交換!
これで【タンク⇒コック⇒ホース⇒外部フィルター】までのライン流量は充分に復元されたはずです
( ^^) _旦~~

早速テスト。しかし、ここまでが今回の前座です (◎_◎;)
こんな長い前座って。。。(;^_^A

交換した外部フィルターの中を観察していますと徐々に燃料が減っていきます...
もうすぐフィルター内の燃料が空になりそうです。そう。状況は劇的には改善していないのです。
とーぜん愕然としました。
燃料の流れを阻害する要因はないのにフィルターまで燃料の流れが細い。。。
これはナンダ?ということで勉強しまくりました。
そして『燃料はタンクとキャブの高低差によって上から下に流れる』という記事に辿り着きました。さらにサイフォンの原理という原理にも。。。

■記事
 燃料が高い所から低い所に流れる原理は重力と圧力差です。
■サイフォンの原理
 ホース内の液体が重力で流れ出すと、流れる燃料の重さが後ろの燃料を引っ張る力(吸引力)となり、ホース内が燃料で満たされていれば、途中高い場所があってもポンプなしで燃料を移動させることができます。
というものです。

それで気付きました。。。
外部フィルターが取り付けられていたお陰でホースが長くなっていました。一部は長すぎる余りトグロを巻いておりました。そのお陰でホースの一部区間は高低差が逆転したりしており...

燃料ホースを18cmくらい切りました。新しい外部フィルターはデカいんで思い切りイキました(笑)
長さを短くしたら配管とタンク接続に苦労したのなんの (◎_◎;)
不幸にしてデカいエンジンが邪魔をしてフィルターをエンジンヘッドとほぼ水平に取り付けないとなりません。
ホース全長を短くして流動抵抗を減らし高低差の逆転をなくすことが目的ですからフィルターにも傾斜を設けないと。再三の試行錯誤で僅か 2° くらいの傾斜が付けられたでしょうか。

メインエンジン点火!始動!ヤマト発進!みたいなノリでナチュラルハイ状態 (;^_^A

フィルターをのぞき込みます。すると、燃料はやっぱり減っていきます。
もー無くなるぞー、の一歩手前で入口から燃料がゴボッと入ってきました。
その後30分以上見ていたんですけど、その後も燃料が無くなりそうになると減った分だけ供給されるという動きを繰り返し、エンストせずに回るようになりました。

ホースとフィルター内は同じ気圧ですから、キャブのフロートチャンバー油面が下がった体積分だけ燃料が入ってくるものと善意的解釈をします。
すると、高速で大量の燃料を消費しても減った分だけは新たに供給されるリクツとなります。
あとは下流のホースにフィルター内のエアが混入しないならこれで成功としましょう✌
※下流ホースに入り込んだ空気は逆流してフィルターに戻ってくるという仮説を立てています (-_-;)

ダメなら最後の手段。
外部フィルターを取り外すか、キャブに極近い場所にフィルターを移設するか。。。メチャ大工事になります (T_T)

皆さま、
■燃料ホースは多少のゆとりを持たせつつ出来るだけ短く
■ホースの太さがタンクやキャブの口に比べてキツキツすぎ(細すぎ)ないこと
ここは是非とも自主点検してくださいませ。
通路の狭窄した燃料コックユニット (◎_◎;)
こりゃ、燃料は足りなくなりますわ...


自己紹介
バイクガレージDEMOTAの店主です。 バイクの話を中心に、たまにバイク以外の話も書いていきます。 すべての話に「おみや」をご用意しています。是非読んでください。
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