オートバイは電気を使いながら充電している話
整備技術
充電装置のあれこれ

オートバイは電気を使いながら充電している話

オートバイにバッテリーが搭載されていることは何方でもご存知かと思います。
バッテリーは電気を吐き出してオートバイの電子装置などを起動させるものですね。
電気は使えば減りますから、バッテリーはそのうち電気量ゼロとなってしまう運命にあります。そうなると今のオートバイの電気装置は全て止まってしまいます。当然、エンジンも止まってしまうワケです。
そうならないように、オートバイには充電装置も搭載されています。つまりバッテリーから放電しながら、同時にバッテリーに充電している関係性があります。

そこで素朴な疑問が浮かんできます。

それならバッテリーを取り去って発電装置から直接電気を供給すればイイじゃん。そうすればコスト削減や軽量化が実現できるのに?というギモンです。

その疑問の解はセルモーターにあります。
セルモーターはエンジンを始動するために使う装置です。とても大きな「電流」を必要とします。「電圧」ではありません。電圧はバッテリー電圧12ボルト一択なのですから。
電気に詳しい方なら驚きがより鮮明となる事実なのですが、セルモーターにはオートバイで30A、自動車では90Aもの大電流を必要とします。更にセルモーターのスイッチを入れた瞬間の「突入電流」は何と900Aにも達するそうです。
ちなみに人間が感電して絶命する電流値は0.1Aとされています。オートバイでその300倍もの大電流が必要となるワケです。瞬発的にそんな大電流を吐出できる装置はバッテリーしかありません。
充電装置(発電機)はエンジンが始動しないと発電できないのですから。
まとめますと、(極論ですが)バッテリーはエンジン始動の為に必要で、エンジン始動後は充電(発電)装置で電気は賄えるということになります。

充電装置(発電機)はジェネレータという名前で呼ばれています。たまにダイナモという表現をされる方もいらっしゃいます。ちなみにオルタネーターという言葉も使われますが、オルタネーター≒ジェネレータになります。オルタネーターは交流発電機の直訳版です。
クルマではジェネレータよりオルタネーターの名称が使われますが、オートバイでは少し意味合いが違いますので「ジェネレータ」を使いますね。

そして、ジェネレータとダイナモは同じものではありません。実は。両者には決定的な相違があります。
ジェネレータは交流発電機、ダイナモは直流発電機になります。
ダイナモは直流電気を発電するのですが、エンジン回転が高いと大きな発電量となり回転数が低いと小さな発電量となります。エンジン回転域の広い自動車では不向きなことから現在は使われていません。

ジェネレータは交流電気を発電します。バッテリー駆動の電気装置はすべて直流仕様なので本来は直流発電が良いのですが、上述の理由からダイナモは使えません。そうなりますとジェネレータの交流を直流に変換する必要があります。
その為には整流器(レギュレータ)が別に必要となります。また、発電機は高い電圧の電気を発電します。バッテリーと同じ12Vを発電していたのでは電位差がゼロのためバッテリーに充電されません。
ですが、余り電圧が高すぎてもいけません。ですから、最大でも14.5Vに下げる調整器(レクチファイヤ)も必要です。この14.5V以下に変換された電気を「調整電圧」といいます。

オートバイのエンジンを掛けた状態でバッテリーの⊕⊖ターミナルにテスター(電圧レンジにて)を当ててみてください。計測値が14V前後でていれば正常に充電されている証拠です。最低でも13Vは必要となりますので、もし12V台であれば充電装置の故障と思って間違いないでしょう。

オートバイの充電装置はジェネレータ+レギュレート・レクチファイヤとなります。
■ジェネレータはエンジンのフライホイール内に格納されたステータコイルと永久磁石で構成されています。旧車では永久磁石の代わりにローターコイルが使われているものもあります。シンプルな構造ですから故障の頻度は少ないです。

■レギュレート・レクチファイヤは、整流電圧調整器です。ダイオードを使って電気の流れを一方通行にします。つまり直流化です。更に、余剰な発電電圧を熱エネルギーに変換することで14.5Vに下げる仕組みです。ヒダヒダの放熱板(ヒートシンク)が付いています。
内部のダイオードや抵抗などの電子部品が高熱に晒されます。ですから故障リスクは比較的高いですし、劣化して充電電圧が低い状態になっていたりもします。

先日のCB250RS-Zですが、
テスターで計測したところ案の定、12.6Vを計測しました。ヘッドライトを点灯すると12.3V ...
これはバッテリー電圧を計測しただけで充電されていないという証拠です。このままでは走行中にバッテリー上がりでオートバイは止まってしまいます。
故障診断ではジェネレータ正常、レギュレート・レクチファイヤが極めてアヤシイという結果になりました。絶版車ゆえに純正新品はもうメーカーにはない。中古か外国製か、という判断を迫られました。
我が部品目利きのセンスを信じて、最終選択は中古の純正部品 (◎_◎;)

リスクはありましたが充電電圧13.6Vを観測!
大成功です^^
自己紹介
バイクガレージDEMOTAの店主です。 バイクの話を中心に、たまにバイク以外の話も書いていきます。 すべての話に「おみや」をご用意しています。是非読んでください。
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