法令規則技術
ヘッドライト検査の今後は?
オートバイ車検の未来予想図
皆さん、ユーザー車検ってご経験なされたことありますか?
自分のオートバイは自分で面倒見たい!という意欲の高い方はご自身で継続検査を受検されたご経験を持つと思います。
その中で、最も難関なのはヘッドライトの検査ではないでしょうか。
キャブレター時代では排ガス検査も相当に難関でした。今はコンピュータ制御のインジェクション車がメインとなっておりますのでそのハードルは飛躍的に下がっている感じです。
とはいえ排ガス規制は昔と比較にならない程の厳しいレベルとなっているのも事実ではあります。。。
ヘッドライトでは2つのポイントで検査が進みます。
光軸(照射方向)と光量(明るさ)です。
オートバイの光軸は現在はハイビームで測ります。
10m先の照射先で一番明るいエリアが照明中心点から上10cm以内、下約15cm以内、左右それぞれ27cm以内という狭い範囲に収まることが条件なんです。
実際の検査場では1/10に縮尺して1m先で計測しますので、中心の上1cm、下約1.5cm、左右それぞれ2.7cmの範囲から最高光度点がハミ出るとアウト!ということになります。
次に光量ですが、絶版車はこれがかなりネックになります。
15,000cd必要なところ、半分の明るさしか出ないということも良くあります。
これは経年劣化によって回線の抵抗値が上がってライトが暗いという主原因があります。その他レギュレート・レクチファイヤの劣化によって電圧があがらない。バッテリーの設計容量不足などあります。
この対策として昔はハイワッテージなハロゲンバルブを用いていました。現在では光量がズバ抜けて多いLEDライトが普及したことで相当にラクになりました^^
DE、このヘッドライト検査ですが今クルマでは激震が走っております。
全てロービームでの検査に切り替わろうとしているからです。
ではロービームだと何がハードルとなるのでしょうか?
対向車や前走車が多いクルマ社会ではハイビームではなくロービームでほとんど過ごしています。
日本は左側通行なので右側は光軸が低く、左側は歩行者を視認できるようある程度の高さまで高いところを照射できるレンズが使われています。この光の明暗の区切り線を「カットオフライン」と呼んでいます。
ロービームでは、照明中心点から右側は水平の高さ、左側は中心点から肘を曲げたようにカットオフラインが斜めに上がっていきます。この「肘」の曲り部分をエルボー点と呼んでいます。
最近のライトレンズはポリカーボネート樹脂製なため紫外線で黄ばんで曇っていきます。そうするとエルボー点がボケてしまい不合格となるのです。
また、LEDは照明中心部が広がりやすく光軸の基準範囲をオーバーしてしまうという話も聞きます。
現在、ロービーム検査はオートバイでは対象外となっています。
ここはワタシの単独予想ですが、5年くらい先にはカウル付きや2灯式ヘッドライトのオートバイなどはロービーム検査対象となる得るのでは?と考えています。
つまり、1個の電球でハイ・ローを切り替えるタイプはハイビーム検査のまま、複数個(複眼)のライトでハイ・ローを切り替えるオートバイはゆくゆくはロービーム検査となるのではないかと思うのです。。。
老婆心ながら、近未来を予想すると逆輸入車を所有の方は少し注意が必要かと。
右側通行の国に輸出されたオートバイではカットオフラインのエルボー点が真逆に出るように作られているのです。右端を走る自転車とか人間の視認性を上げるようになっているからです。
これを日本で用いると対向車を幻惑してしまうという理屈で(ハイビーム検査では合格水準でも)ロービーム検査は不合格となります。
つまり、オートバイでロービーム検査が必須となった場合、アメリカ等の逆輸入車は日本の車検を通せないかもしれません。
可能性がゼロでない以上、今のうちに国内仕様のヘッドライトレンズ&リフレクターをストックしておいた方が良いのでは?と思う今日この頃です (;^_^A
しらんけど。

ハイビーム検査での基準ですね。10m先で誤差10cm以内とか。狭い!