整備技術
FI(燃料噴射装置)式原付スクーターでもスゴイ電子制御をしていました。
修理をようやく完了したんですが、その驚き度合いをお伝えしたくてブログ書き残しますね。
いろいろ見ていくと、原付でもスゴイ数の電子制御部品が付いていました。
≪センサー≫
■吸気圧力センサ(バキュームセンサ)
■スロットル開度センサ
■吸気温度センサ
■油温センサ
■バンク角センサ
■クランク角センサ
■O2センサ
≪アクチュエータ≫
■アイドル・エア・コントロールバルブ(IACバルブ)
■フューエルポンプ
■インジェクター
エンジンの回転速度(クランク角センサ)と吸い込む空気量(吸気圧力センサ+スロットル開度センサ)から噴射する燃料の量をコンピュータが演算してインジェクターに噴射指令を送る流れとなっています。
そこで特筆すべき点が2つ。
①吸気温度センサで空気の“密度”まで計算に入れている点。
空気は高温では膨張して密度が薄くなりますから。空気密度が薄い=必然的に混合気は濃くなってしまいます。これを是正するのです。
②始動の際のデータにエンジンオイル温度を利用している点。
朝一番でエンジン始動するときなど、混合気が冷たすぎて燃料に火が入りません。そこで燃料を濃くして点火しやすくするのですが、その冷たさの「見極め」にエンジンオイルの温度を利用しているのです。油音センサ感知の温度を「冷た~い」ってコンピュータが判断したら、通常の制御ロジックを無視して燃料を多く噴射するように予め設定しています。
IACバルブをコンピュータが動かして、エンジンが止まらないようアイドリング回転数を自動調整しているのもスゴイです。
更にその他、クランク角センサはエンジン回転速度を計測するだけでなく、ピストンが圧縮上死点前に近づいたとき(燃料噴射のタイミング)を教えてくれるものでもあります。
で、実際に燃焼した混合気のガソリン量が濃かったか薄かったかを排気管に仕込まれたO2センサが検知しています。コレがコンピュータに是正指導を行っているので排気ガスが常にキレイなんです。
あと、ひっくり返ったらエンジンを停止させるためのバンク角センサーも付いています。
原付のようなコストをセーブした作品にも、高度な技術が満載されているのには驚きの一言です。
今回の故障はエンジンオイル管理の悪さから発生したものでした。大量に発生したカーボンとスラッジがシリンダーの圧縮圧力を無くしインジェクターを目詰まりさせたのです。
つまり、いくらインジェクション車両といってもオイル交換を怠ると普通に故障します。これはキャブレターとなんら変わりありませんのでご注意くださいませ Σ(・□・;)
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