整備技術
819の日特別編(◎_◎;)
マフラーからの黒煙ってすべて悪いコトなのか?
今日は819の日。
最近は安全、安全ばかり言っていました (◎_◎;)
だから今回はバイクの日に敬意を払って絶版車の楽しみ方というテーマで。
DEもワタシのことです。単なる「旧車ってサイコー!」で済ます話ではありません。違った視点から滔々(とうとう=到投?)と語ります。。。(◎_◎;)
先日ある400cc絶版系スポーツ車に乗る機会がありました。車検のときです ('◇')ゞ
■ツインカム4バルブ4気筒マルチエンジン
■40年前に製作されたとは思えない丁寧な溶接ビードのアルミデルタボックスフレーム
■14,000rpmまで目盛りのあるタコメーター
乗ってみて驚きました (◎_◎;)
今の400ccと違ってものすごくパワフルなんです。走行6万キロとはとても思えない。。。
いや。パワー競争時代のバイクブーム時代のオートバイと比較しても力強いワケ (◎_◎;)
ナナハンに近いトルクフィールなんです。こりゃ~おもしろい!(笑)
正直、ワタシ400ccのジャンルには個人的にやや期待薄だったんです。他意はなく何となくですけど。。。
そして気付いたのが4,000rpm付近で結構大きなトルクの谷があります。パワーバンドを外れた2ストレプリカみたいなイメージです。
ん~~~~?
ナンジャ~コレ、って感じ。5,000rpmを超えると「押すな、押すなよ~(◎_◎;)」って感じで一直線にトルクがグリグリと盛り上がってきます。
DE、いろいろ遊びながら帰宅しました。帰宅したとき、一つの事実に気付きました。超高回転域でマフラーから黒煙を吹くのです
けっこうバフッと。乾いた黒煙です。黒煙の原因は「不完全燃焼」ほぼ一択です。(超厳密な技術論とは一線を隔しますが(◎_◎;) )
ガソリンが濃すぎる場合に出ます。
そこで、キャブレターでの燃料供給経路についての簡単なおさらいですが、
■アイドリングではパイロット系統
■低回転域ではスロー系統
■低回転~中回転域ではスロー系統とジェットニードル(ストレート部分)の組合せ・グラデーション
■中回転~高回転域ではジェットニードル(テーパー部分)とメイン系統の組合せ・グラデーション
■高回転~超高回転域ではメイン系統
上述の燃料供給系統(ライン)が段差なくバトンリレーのごとく機械的に切り替わっていきます。
ですから不完全燃焼を無くすには「どの回転域がおかしいのか」で切り分けて、各ジェット類のセッティングを詰めていくワケですね。
今回のオートバイでは超高回転域で黒煙を多く吹きます。12,000rpm以上で連続的に濃い粒上の黒煙がカナリ目立つ程度に出ています。(厳密に言えば中回転域でも目立たない程度にうっすらと黒煙が出ているとは思っています。)
このマシン、かなりハイグリップなタイヤを履いています。6万キロ乗ってもアイドリングが安定している。アイドリング→超高回転域まで一気に吹け上がる。モタツキ、頭打ち、息つきなど感じない。オイル交換しても金属粉が混ざっていない。
しかも転倒歴もなくエアクリからマフラーまでほぼノーマル仕様という奇跡的な車両です。
そのことから以下の推理が出てきます。
オーナー様は
■かなり大切にこのオートバイを労わっている、取り扱っている
■そこそこ峠道を攻めるのが好き。だけど無理はしない
■パワー至上主義時代のオートバイなので当時の馬力競争に関心がある
これらで思いつくのはエンジン自体に特に異常がない→キャブのセッティングを変更している→黒煙を吹く回転域から推定するに、「メインジェット」の交換をしているとか。しかも結構デカいサイズに。
トルクの谷も元々あった特性が高回転域でのハイパワー化が進み、そのコントラストで相対的に目立った形で発現していると考えることができます。
そう考えると、
総合的にすべての現象にツジツマがピタリと合うんですよ。実際にそうかは確かめていませんが (◎_◎;)
では、ナゼに確かめていないのか?
このままで良いと思ったからです。
「黒煙」と聞くと異常→故障→修理との思考にフツーになりますね。しかし、ソモソモ黒煙はどのくらいエンジンに悪いのか?というトコロに行きつくワケです。
黒煙は不完全燃焼が原因です。ススが出ているので排気ガスが黒くなるんです。ススの正体はカーボン(炭素)です。
カーボンはガソリンの原料(炭化水素)でもありますので燃料の燃え残りというワケです。で、このカーボンがエンジン内に溜まっていくと悪さをしていきます。
■バルブのカーボン噛みで圧縮漏れを起こします
■溜まったカーボンが不意に燃えることで『異常燃焼』を引き起こすリスクが高くなります
■オイルの汚れが早くなります
■そもそもエンジン回転に悪影響が出るリスク大です
(大気汚染の話はここではチョット脇に置いておきます (◎_◎;))
これらの現象をこのオートバイに当てはめますと、、、
■バルブのカーボン噛み
→リスクはありますが超高回転域での黒煙発生であればバルブ噛みは発生しずらいワケです。
高回転域だけで短時間発生するなら、常用域まで常に燻っているエンジンとはリスクの質が違うということですね
■溜まったカーボンが不意に燃えることで異常燃焼(ノッキングなど)を引き起こすリスクが高まります
→改造で圧縮比を上げたエンジンではヤバいですが、この車両はノーマルです
■オイルの汚れが早くなります
→早めのオイル交換で対処できます。スーパーゾイルも注入していますし
■そもそもエンジン回転に悪影響が出るリスク大です
→そもそもアイドリングから中速域まではメインジェット変更の影響は少ないワケです。
この回転域での不完全燃焼は比較的少ないかと
そして、6万キロまでこんなに調子よく動いているという重たい事実があります。40年以上生き残ってきた実績があります。そしてフツーの400ccより遥かにパワフルなんです。凄くおもしろいんです。
「リスク」と「本来の楽しさ」を詳細に分析していくと、
結論として「このままの方がこのオートバイを楽しむことができる」と判断できるという寸法です。
もちろんこのオートバイに限っての話ですが。
整備士の本音として、「調子の良い部分を敢えて弄らない方が良い」という基本的な意見を持っています。すべての部位に完全な絶好調を目指してアチコチ弄ったら、反って調子悪くした事例の報告が後を絶たないからです。
おじいちゃんオートバイでも、ごついセッティングをしていても丁寧に扱えば6万キロ楽しく走るのです。
適度にブン回して、キビキビ走って、そして定期点検をして。こうすれば絶版車には今のオートバイにはない至福が多くあります。
健康を意識し過ぎて、おいしい物も食べず酒も飲まずでは人生はツマラナイ (◎_◎;)というのが私見であります。
オートバイも同じなんだろう、鉄の馬ですからと考えてしまいます ('◇')ゞ
というワケで今回の整備ではキャブを弄らず、イリジウムプラグを採用して熱価も下げる→こうすることでエンジンの燻りは若干改善する(か)ということで対処しています。
もちろん理論的には改善方向に行くハズですが (◎_◎;)
本日の最後の話題になりますが、
空燃比(燃料)はリーン(薄い)よりリッチ(濃い)方が、特に高負荷・高回転域でエンジンにとって優しいのです、実は。
希薄燃焼は高温になり易く、異常燃焼(プレイグニッションとかデトネーション)も発生し易くなります。
その結果、シリンダーやピストンそしてヘッドに致命的な変形・破壊を引き起こすリスクが大であります (-_-;)
このオートバイでも混合気が薄いという仮説であれば、何をも言わずキャブレター調整に踏み込んでいたと思います。それだけ高回転域での混合気リーンは危険だと覚えて頂ければ (◎_◎;)
DE、このオートバイのプラグは予想通り「真っ黒」でした…
メデタシメデタシ(◎_◎;)
違いますか(笑)
ご安全に🏴
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