スパークプラグと点火の話
整備技術
点火装置とは何?

スパークプラグと点火の話

ガソリンエンジンはスパークプラグが付いています。ディーゼルエンジンにはスパークプラグはありません。これが大きな違いであります。

ガソリンエンジンではスパークプラグによる点火、ディーゼルエンジンでは空気の圧縮熱による着火、による燃焼で動力が発生しています。
まあ、オートバイはガソリンエンジンなのでスパークプラグがメンテナンス対象となっていますのは周知の事実でございますが、コレの勘違いメンテも結構見受けられるので今回のお話となります。

まず、エンジンが本調子でないときスパークプラグの中心電極と接地電極のスキマを確認しろとモノの本には書いてあります。ですが、『スキマ開いてるよね~?』で終わってしまう場合、『スキマを小さくしたら火花が良く飛ぶんじゃね?』と電極をトンカチで叩いてギャップ(スキマ)を小さくする場合が多いのではないかと。
『スキマの大きさはその車種各々で決まっている数値にしましょう』で片付けては話が終わってしまいますね。これはスキマが大きすぎても小さすぎてもNGということを言っているワケですが、そのリクツが説明されている記事は多くはない印象です。

以下は、スキマのことを「(プラグ)ギャップ」と呼びます。
まず前提の説明として、混合気に火花が飛ぶとどうなるか?→点火し燃焼が始まります。その点火から燃焼に至る最初の行程で『火炎核』という火種の赤ん坊ができます。
■ギャップが小さい場合
 この火炎核が燃え広がる際に中心電極と接地電極に『熱(温度)』を吸い取られ、火が消えてしまいます。よってキレイな燃焼に至らず“失火”してしまうのです。いわゆるミスファイヤという現象です。ですからスパークプラグを落とすとか、トンカチで叩く行為は御法度とご認識頂ければ良いかと。

■ギャップが大きい場合
 ギャップが大きい場合は消炎作用がなくなり、また、火花により刺激される燃料分子の数が多くなることで火炎核が成長して良い燃焼に繋がります。ただし、ギャップが大きすぎると電極から電極へと飛ぶ放電エネルギーが追いつかず火花が飛びません。

以上のことから、スパークプラグのギャップは大きめの方が良く、スキマを詰める行為はエンジンにとってマイナス要因でしかないということです。
旧車では火花を飛ばす電圧が今の車両より低いことが大多数でありますので、メーカー指定のギャップを保持することが非常に大切、という理屈になるのですね。

ちなみに、突き出した電極があるスパークプラグは火炎核が燃料分子に多く触れることで、その活性化を促進し効率良い燃焼を実現する為です。また、電極が細く尖っていたりするスパークプラグがあるのは、火炎核の熱を奪わないようにする為でもあり、エネルギーを一点に集中して放電する為でもあります。
中心電極や接地電極にU字型や⊕型の溝があるのも消炎作用を小さくする仕組みであります。

そのスパークプラグに電気を送るシステムを点火装置といいます。
具体的には、バッテリー、イグナイター、ピックアップコイル、イグニッションコイル、スパークプラグを指します。バッテリー電圧の12Vを約15000V以上に昇圧する装置がイグナイター+イグニッションコイルでして、点火時期や点火対象気筒に点火指示を出すのが、ピックアップコイル+イグナイターであります。

バッテリ電圧12ボルトが2万ボルト近くもなるなんて信じられませんね。最近の自動車等では燃費向上のため3万ボルトにもなると言われています。
この仕組みを全部お話すると大変な分量になってしまいますので、今回は「火花が飛ぶまでの電圧に昇圧する」との内容に絞ります。

点火電圧は2つのステージに分かれます。一次電流と二次電流です。一次電流をイグナイターが受け持ち、約300~400Vに昇圧されると言われております。
■一次電流
電気というのは不思議な性質がありまして、「常に逆の力が作用する」ということのようです。いつも通り、ナンノコッチャ???ですね (;^_^A
鉄芯に導線を巻いて(コイル)そこに電流を流すと鉄芯が磁石になります。その瞬間に鉄芯の磁化を妨げようと、逆向きに電流が走る現象がおきます。これを逆起電力といいます。この逆起電力の作用で導線内は電気分子がギュウギュウに詰められていきます。電流が圧縮されるイメージですか(-_-;)
電気分子の密度がクグーッと上がってきたところにその導線をカットすると一気に電気の流れが堰き止められ、鉄芯の磁力が消滅していきます。すると今度は磁力を落とさないように逆のエネルギーが発生し、瞬間的に大きな起電力(電圧)が発生します。これが400Vの一次電流となります。これはコイルの巻き数に比例し、仮に500巻で400Vが発生するとしたら、1000巻で800Vまで昇圧します。

■二次電流
一次電流の400Vを20000Vまで昇圧されたものを二次電流と言い、これをイグニッションコイルが担当します。
イグニッションコイルは二種類の導線が鉄芯を中心に二重に巻かれています。電気というものはこれまた不思議なものでして、一次電流を流すのを一次コイル、二次電流で20000Vの電圧を発生させるコイルを二次コイルと呼んでいます。
もちろん、一次コイルと二次コイルの間は絶縁されており、同じ電気は流れていません。それなのに一次コイルに電流を流すと二次コイルにも電流が起きるというのですから不思議です。
しかも一次コイルと二次コイルの巻き数の比に昇圧率も比例します。つまり、一次コイル500巻・400Vとすると、二次コイルでは50倍の25000巻で20000Vが発生するのです。

以上のことから、バッテリー電圧と一次電流回路の切断ポイントが正常であることを前提として、一次電流で大きな電圧を発生するほど、二次電流は劇的に大きくなります。
各コイルの巻き数の幅が非常に大きいため、バッテリ電圧が低いと最終アウトプットのスパーク電圧は想像以上に下がり、不完全燃焼のもととなります。
ですからバッテリー電圧の管理はしっかりと行いましょう。それが一番のメンテです。。。

次回はスパークプラグの電極温度についてのお話をしたいと考えております^^
プラグギャップ標準0.8mmのところ放電による摩耗でこんなに減って広がってしまいました。。。
狭すぎはダメですが、広がり過ぎも失火の原因となります。
オートバイは回転数が高いので自動車の何倍も減りが速いので注意が必要です。


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