商品雑ネタ技術
その2は次号をまて(笑)
オートバイの長期保存を考える(その1)
先日、ピカピカのオートバイが入庫しました。
新車に近いレベルのオートバイ。
しかし、実態は違いました。
ガソリンの腐臭が周囲に漂っています (◎_◎;)
!!!と思ってタンクキャップを開けたらエライことになっていました。。。
でも、不思議なことにタンク内はガソリンで満たされていたのです。
つまり、決して粗雑に扱われていたワケではなく、オーナーはオートバイを労り「長期保存」のつもりだったのではないか?
ということが今回のお話を考えたキッカケでゴザイマス。
【バイク長期保管の定番「ガソリン満タン保存」は万能ではない?】
オートバイは、金属、樹脂、液体類、ゴム、ケミカルで構成されております。
長期保存をするということは、それぞれを劣化から遠ざけるということです。
DE、一番のネックはサビ。サビとは金属の酸化です。ここでは鉄を例にお話をします。
鉄(Fe)が酸素(O₂)と反応し、最終的に酸化鉄へ変化していくのは中学理科で習った通り。
ただ、ここで少し不思議なのは、
「鉄は普段から空気中の酸素に触れているのに、なぜ急激にはサビないのか」
という点です。
実は、鉄と酸素だけでは反応速度はそれほど速くないそうです。そして大きく関与するのが水分です。
水は単に“濡れる”だけの存在ではなく、イオン移動を助ける電解質として働くとのこと。
鉄表面では、
■鉄が電子を失ってイオン化する反応
■酸素が電子を受け取る反応
が発生し、そこに水分が存在すると電子移動・イオン移動が一気に進みやすくなるという寸法です。
つまり、
◆空気中の酸素だけ⇒ゆっくり酸化
◆水分+酸素⇒ 電気化学反応として腐食が加速
という違いがあるワケです。
さらに厄介なのは、水に微量の塩分や酸性成分が含まれることが多く導電性が上がります。そうなることで腐食速度はさらに増加していきます。
【ガソリンが腐る原因と「酸化重合(ワニス・ガム質)」のメカニズム】
これをベースにタンクの中のガソリンに話を戻します。
長期保管でガソリンに起きること。それは、揮発、酸化、重合、水分混入。
ガソリンは複数の炭化水素の混合物なんです。軽質成分、芳香族、パラフィン系、ナフテン系、オレフィン系などが混ざっています。
長期保管でまず瞬間的に燃え始動性に効く軽い成分(低沸点成分)が真っ先に抜けます。これで残りは燃えにくい成分だけの燃料になります。
次に酸化です。
特に不飽和炭化水素(オレフィン系成分というらしい)は酸化を受けやすいそうです。
酸素と反応して過酸化物、アルデヒド、ケトン、カルボン酸など(しらんけど)を生じ、さらに酸化重合して樹脂状物質に変化してしまいます。
酸化重合とは「酸素がキッカケになって、分子同士が繋がって巨大化する反応」のことで、酸化しながら徐々に“樹脂化”していく現象が生じます。整備現場で言うガム質やワニスとなるワケです。
※酸化重合した炭化水素類、酸化ポリマー、樹脂状有機化合物の総称と考えると分かりやすい??です。
つまり、
ガソリン内の汚れによる悪さではなく、ガソリン成分そのものが変質してガム質やワニスといったベタベタ物質になるワケです。
ガム質やワニスが、
■キャブレターのジェットを詰まらせる。
■フロートバルブを貼り付かせる。
■燃料ポンプのストレーナを詰まらせる。
■インジェクターの微細通路に悪影響を与える。
こういう形でエンジン始動不良の症状になります。
従来言われてきた「ガソリン満タン保存」という考え方は、タンク内をガソリンで満たして酸素を追い出すことを狙うものです。ガソリンは基本的には吸湿性は高くないですから、タンク内面への結露(水滴付着)もないハズです。
だから、満タンにすることによりタンク内の大気と水蒸気をなくすという理屈ですね。実に合理的です ('◇')ゞ
しかし、今回実際に見た車両は、その理屈だけでは説明しきれない状態でした。
タンク内部はほぼ全面的に腐食しており、しかも部分的には塗膜侵食まで進行していました (◎_◎;)
つまり、単純に『タンク底部に少量の水が溜まった』というレベルでは説明が付きにくいワケです。
ここで考えたのは、
『長期間で劣化し続けた燃料そのものが、徐々に腐食性を持つ要素へ変化していったのではないか?』という仮説です。
上述の通り、長期間放置されたガソリンでは揮発だけでなく酸化と酸化重合が進行します。そして、ガム質やワニス状生成物へ変化していく。
つまり、時間経過と共に燃料そのものの化学的性質が変化していくワケです。
一般的に、腐食に必要な水分量はそれほど多くないと言われます。
例えば腐食を促進する水量は0.01%程度とされており、その水分は10Lの燃料に対し1mL。スポイト1本分程度しかありません。
ですが、腐食反応は表面に付着した極薄い水膜でも起きるというところがミソであります。“水没”にしないでも発生するというものです。
しかも、長期保管中のタンク内部では温度変化、燃料揺動(チャポンチャポン)、蒸発、酸化生成物の攪拌などが延々と繰り返されます。
つまり、
最初は局所的だった微量水分や酸化生成物が、長い年月の中でタンク全体へ影響を及ぼしていく可能性があるワケです。
そして今回特に気になったのが塗膜侵食です。
赤サビで終わらず塗膜まで侵されているとなると、単なる「水+酸素」だけではなく、長期間酸化された燃料成分や酸性生成物などが影響している可能性も考えたくなります。
「水が入ったからサビた」という単純な話ではなく、『長期間劣化した燃料そのものが、微量水分と反応しながら徐々に腐食性をもつ要素へ変化していった』という仮説も成り立ちそうです。
今回実際に目にした現象を見る限り、『満タン保存=万能』というより、
長い時間軸では燃料自体の化学変化が腐食増大に拍車を掛ける可能性があるようにも感じました。
そーですそーなんです。ガソリンそのものにも“消費の限界点”があるんです。
一般的には半年程度を超えると劣化が始まると言われています。
少なくとも、「数年間入れっぱなしでも問題ない」という類の液体ではないですね。
“満タン保存して終わり”ではなく、半年毎に燃料自体を入れ替えすることはとても重要だと思います。
今回の結論ですが。
【5分のアイドリングはNG!古いガソリンを入れ替える正しい方法】
あとですね、単にタンクのガソリンを入替してもアカンと思うワケです ('◇')ゞ
それは、ホースやキャブレター、インジェクションにも燃料が残っているから。
ガソリンを入れ替える前にエンジンを一定時間以上回してあげることが大切ですよ。
「一定時間以上」ね。
よ~し、一定時間ね。5分なら一定時間だろう。。。
そーです、5分は一定の時間です。でもダメです。エンジン全体が熱を帯びる前にストップしてしまうと内部で違う問題を誘発してしまいます。
そのココロは。
ガソリンは完全燃焼すると水と二酸化炭素が生じるからです。
その水はマフラーから排出されるほか再度蒸発させます。しかし、エンジン部品が冷たいと水の再蒸発が促進されません。
しかも、環境保護機能により未燃焼ガス(ガソリン)を再度エアクリーナーからエンジン内部に取り込んでいます。その時、同時に水分まで取り込んでしまうワケです。
そして、その水がエンジンオイルをカフェオレ色に変色させ、内部をサビサビにしてしまう理屈です。
だから、この場合の一定時間とは「数十キロ実走」が適切なんですよ。
そしてそのあとタンクのガソリンを入れ替える。。。廃ガソリンはGSに持ち込んで有料処分してもらいましょう。
今日はここまで。
続きは次号をまて (◎_◎;) ←昭和の番宣っぽく言ってみた⤴