整備技術
今回もお客様からナイスなご質問を頂きましたので述べていきたいと思います。
【症状】
・水温が上がってもアイドリングすらしないようになってしまった
・前は徐々にアイドリング回転数が下がって止まるような感じだったが、今回はすぐ止まってしまう
・エンジンの吹けは悪くない
エンジンは混合気の燃焼で動いています。この混合気はガソリンが気化して空気と混ざったものをいいます。
その混合割合が非常に大切で、これを『空燃比』といいます。中でも最もキレイに完全燃焼する混合割合を『理論空燃比』といいまして、空気:ガソリン=14.7:1となります。これは“ガソリン1gを完全に燃焼させるには空気14.7gが必要”ということを意味しています。
この14.7より濃い(=空燃比小)場合をリッチ、薄い(=空燃比大)をリーンと言っています。
通常、エンジンは低⇔高域をシームレスに回転し、負荷が高い⇔低い状況を絶えず繰り返しながら回転しています。そうなると、走行状態に合わせて空燃比を意図的に変化させた混合気をエンジンに送り込む必要があるワケです。
特に始動→アイドリング付近ではエンジンが止まってしまわないように、理論空燃比よりかなりリッチになるよう設計されています。それゆえ、アイドリングは燃費が悪いのでエコロジーとしてアイドルストップ機能が考え出された経緯があります。
じゃあ、アイドリングしないのは空燃比がリーンなの?との声が聞こえてきそうですが、リーンでもリッチでもアイドリングは不安定になります。
ガソリンは気化しないと燃焼しないのですが、混合気が薄すぎると失火しますし、反対に濃すぎ(充分に気化しない状態)てビタビタになってしまってもダメ(失火)なんです。
では、『走行25,000km、水温95℃の条件下でアイドリングしない』について以下が疑われます。
・エアフィルターの汚れ、つまり
・エンジン内部へのカーボン蓄積(スパークプラグ、バルブ、インジェクター)
・アイドリングスクリューの調整不足(右回しに締めると回転があがります)
・パイロットスクリューの戻し回転数不良(キャブ車)
・吸気圧センサー、O2センサー異常(インジェクション車)
・水温95℃の状態で酸素量が少なくなっている
キャブ車はパイロットスクリュー戻し回転調整不具合(開けすぎ)が多いです。
スロットルボディ+インジェクション仕様車では燃料噴射量をコンピュータが決めるのですが、そのコンピュータの判断を狂わせる原因を探します。
■エアクリーナ汚れ、つまり
吸気抵抗となって吸入酸素量が減り相対的に混合気が濃くなります
■スパークプラグにカーボンが堆積する
失火が多くなり不完全燃焼が頻繁に発生します
■エンジンヘッドのバルブにカーボンが堆積する
カーボンを噛んだバルブは密閉性を保持できず、燃焼圧力や混合気吸引力(=インマニ負圧※)が低下する。《※ピストンが下がる時に発生する空気を吸い込む力のこと》
するとキャブ車ではガソリンの吸い出し量が足りず、かつ燃焼圧力も低いため回転が下がってエンストする。一方、インジェクション車ではインマニ負圧が小さくなったことで、コンピュータが『エンジン回転数に対して薄すぎ』と誤判断して燃料噴射量を増やして混合気が濃くなる。
■キャブレターとインテークマニホールドをつなぐ樹脂部品にクラックがあり、そこから余計な空気(2次エア)を吸っている。結果、混合気が薄くなってアイドリングが不安定になる
(エンジン運転中に強燃性パーツクリーナーを樹脂部品に吹き付けると回転が上がる時など)
■インジェクション車において、インジェクターのカーボン蓄積による噴射異常が発生している
■インジェクション車において、吸気圧センサー、O2センサーの異常でコンピュータが正しい演算を行なえない(多くはない)
■エンジンの温度が高い
空気は熱で膨張します。吸い込む酸素が多いと燃焼効率は良くなりますが、熱膨張した密度の薄い空気では酸素量が少なくなります。熱い日などは、アイドリング時での回転が不安定になります。
要は、空気(酸素)の量に対してガソリンの量が多すぎでも少なすぎでもエンジンは正しく回りません。特にアイドリング時はシリンダーの燃焼圧力が低く、エンジン部品の摩擦抵抗が邪魔するため回転が安定しない原因となります。
《皆さまにできること》
■エアクリーナをキレイに
■スパークプラグを見てススが溜まっていたら清掃しましょう
■アイドリングスクリューをいじってみましょう
■走行時は頻繁にギヤチェンジを行い、アクセル操作だけに頼った特定ギヤのホールド状態で走行しないように(エンジン内がカーボンだらけになります)